まっさら

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ふと、自分が学生だった頃を思い出した。

まだ、まっさらだったあの頃。

沢山の友達。彼女。家に帰れば家族がいた。

1年が、春夏秋冬が、1ヵ月が、
今と比べると、とても長く感じた。

今は高校を卒業して14年経つ。

いつの間にか、そんなに時間が過ぎていたんだね。

 

正しい事なんて、ほとんど何もしてこなかった。

友達の存在も優しさも、当たり前だと思ってた。

人からの愛情や暖かさも、気づけなかった。

毎日「不自由だ!」って、文句を言ってた。

でも構って欲しくて、褒めて欲しくて。

毎日、オシャレだけはちゃんとしてたな。

 

今の俺が、学生時代の自分に会えたら、
「羨ましい」って思うんだろうな。

でも、学生時代の自分が今の俺に会ったら、
がっかりするんだろうな。
文句と誹謗中傷の嵐だろうな。容赦なく。

 

分かってるよ。過去なんて振り返っても、意味なんてない。

今の自分にできることを精一杯やる。

前だけを見る。それが正解。

でもさ、たまにはいいじゃん。

心の赴くままに、過去の思い出に浸るのもさ。

 

あれだけ沢山の人達がいてくれたのに、
いつの間にか一人になった。

色んなものを、捨て続けてきたような気がする。

あれは嫌これは嫌って。

多分このままだと、
『孤独が大嫌い』ってことすら忘れてしまうんだ。

そうして人は、『本当の何か』を忘れ続ける。

でも消えるわけじゃない。確かに残ってる。

ふとした時に甦るんだ。
「あぁ、そういやそうだったな」って。

それは記憶。映像・音・匂い・感覚・感情。

それらは生きた証。

 

大人になって、いつの間にか、
色んなものを失って、衰えて、背負っていた。

なくなるものばかりで、ゲンナリするよ。

でも忘れちゃいけない。
自分だけじゃなくて、皆そうだってことを。

「だから別にいいじゃん」じゃなくて。

ちゃんと手を取り合って生きていこう。

感謝の気持ちを抱き続けよう。

生きてるんじゃなくて、生かされてるんだから。

 

別に賢くなくたっていいんだ。

正しくなくたっていい。

自分の人生を、自分の意思で歩いて行こう。

減り続ける、自分に残された時間を、大切に使おう。

それが一番の親孝行。世界への恩返し。

 

もう今更、過去には戻れない。

歳が若くなることもない。

いつかシワシワになって、ヨボヨボになるんだ。

どんどん、まっさらじゃなくなっていく。

出会いと別れを繰り返す。

二度と会えない人が増えていく。

一緒に笑ってた人が、違う誰かと一緒に笑うようになる。

 

でもね、覚えておいて欲しいことがある。

何もかも詰め込む必要はないし、背負う必要もない。

意外といらないものだらけ、邪魔なものだらけ。

できるだけまっさらになるのも、案外大事だよ。

本当の自分を、見失わないでね。

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