小さな優しさ

とある女の子のお話。

Sさんは、物心ついた時から、
肉・魚・卵・牛乳を受け付けない人だった。

家では、野菜や漬物をメインで食べていた。

でも、学校の給食ではそうはいかないから、
毎日、白飯と漬物だけ食べたりしてた。

そんな食生活が、何と大学入学まで続いた。

 

これは実話。直接本人に聞いた話だから。

そんな人もいるんだって、驚いた。

だってSさんは、凄く元気で明るくて、
人生楽しいことだらけって感じの人だから。

そんな辛すぎる過去の話を笑顔で話す姿が、
微笑ましいような切ないような感じで、
何とも言えない気持ちになった。

 

そしてSさんは大学に入学して、Nさんに出会う。

Sさんの食生活を知ったNさんは、
出会ったばかりのSさんにこう言った。

N「私が、食べれない物だらけのあんたの体質を克服させてみせる!」

S「え?いや、小さい頃からそうだったから、今更いいよ。」

N「良くない!絶対良くない!いっぱい美味しい物、沢山あるんだから!もったいないって!ちょっとだけ食べてみよ?良いお店知ってるから、ほら!今から食べに行こう!」

S「ちょ!ちょっと待って!急に言われても・・」

N「ほらほら!早く行くよ!お腹すいちゃった!」

 

最初は躊躇したり、とまどっていたSさんだけど、
こうしてNさんと色んなお店に行くことで、
少しずつ色んな物を食べれるようになっていった。

大学4年生になった今では、
焼き肉も寿司も、色んな物を美味しく食べれるようになった。

普通の人からしたら、普通のことだけど。

Sさんからしたら、それは奇跡みたいなもので。

Nさんとは、一生繋がっていたいくらいの親友になった。

 

そして現在。

S「知り合ったばかりの頃、私が色々食べれるようになる為に頑張ってくれて、ありがとね。」

N「は?それはあんたが克服したいって感じだったからじゃん。私は、ただ少し食べさせただけ(笑)。」

S「え?違う違う!そっちが少し強引に食べさせに行ったんだよ!」

N「それはない(笑)。てか、どっちでも良くない?(笑)」

S「うん!どっちでもいい!」

 

この2人は本当に仲が良くて、ニコイチらしい。

同じ大学だけあって、毎日一緒にいる。

これこそ、まさに青春。

ほんの小さな優しさが、Sさんの未来を変えた。

青春は、奇跡を起こす

Nさんが小さな優しさを持っていなかったら、
Sさんは今でも、白飯と野菜メインの食生活を送っていたかもしれない。

少し大げさだけど、小さな優しさによって、
10年以上の呪縛から解き放たれたんだ。

時に、ほんのささいな言葉や行動が、
人を救うことに繋がる。

俺もそういう風に、誰かを救えるような人になりたい。

それも、青春の先生としての使命だと思ってる。

でも誰だってそうだよね。

大切な人を救いたい、幸せにしたいって思ってる。

それはどんな形であろうと、愛であり、青春。

だから皆、青春しよう。

今よりもっと沢山の人達が青春すれば、
世界は希望と感動で溢れる。

今日も明日も、俺も君も、
小さな優しさを与え続けていこう。

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