発展途上国に浄水場を3

発展途上国

そもそもなぜ
発展途上国に浄水場を
作ろうとしてるのか。

その話は、14年前にさかのぼる。

 

今から14年前の2003年。

20歳の時に、初めて海外旅行に行った。

辿り着いた先はベトナム。

リゾートではなく、
あえて一般的な生活地域に1週間泊まった。

そこでは昼夜問わず、
市場で色んな物が売られていた。

鶏とか野菜とか飲み物とか。

皆外で喋ったりしていて、日本でいうと、
毎日お祭りみたいな雰囲気だった。

観光客も大勢いて、
街は深夜でも沢山の人達で賑わっていた。

 

でもそんな賑やかな街の片隅に、
路上生活者や物乞いの人達もいた。

それは凄く不自然で、
周りの風景にアンマッチしていた。

目が合う度に近寄って来ようとするから、
目をそらして離れる。

商売人達は、そんな物乞い達なんて、
まるでいない存在かのように、
完璧に無視していた。

 

発展途上国

ふと気が付いたら、
3歳くらいの女の子が
俺のすぐ隣にいた。

背が小さいから、
近寄ってきたことに気づけなかった。

その子は右のてのひらを上に上げて、
こちらに差し出してきた。

何かを恵んで欲しいらしい。

そして左腕には、
生後半年くらいの赤ちゃんを抱いていた。

その赤ちゃんは、ぐったりしていて、
目は虚ろながらも開いているけど、
泣きもせず、無表情のまま、
まるで人形のように動かなかった。

その光景に、立ちすくむしかなった。

ほんの一瞬だったんだろうけど、
色んな思考や思いが交錯した。

そして俺は、
その子を無視して立ち去った。

何かをあげても良かったけど、
あげたらそれを見た他の物乞い達が、
一斉に集まってくると思ったから。

 

でも、その光景は、
14年経った今でも鮮明に思い出せる。

ずっと忘れられない。

だから多分、本当は心の奥底で、
何かを思ってる。

あの時できなかったこと、
救えなかったふがいなさ、
自分の無力さと冷たさを、
今でもずっと後悔してる。

だけど、まだ遅くはない。

今からでも、できることはある。

そう思った。

 

続く。

前回の記事はこちら↓

発展途上国に浄水場を

発展途上国に浄水場を2

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