人生で最も愛した人との別れ

どんな人間関係でも、突然終わる日が来る。

事故や自殺などで急にいなくなってしまうこともあれば、病気や気持ちが冷めたりして、少しずつ覚悟を決めながらお別れをすることもある。

先日、大切な人とお別れした。

簡単に言うと、恋人にフラれて、その理由は「俺に将来性がないから」らしい。

今年27歳になる彼女にとって、真剣に将来を考える年頃だし、タイミング的にも理由的にも、前の彼女と別れた時とほぼ同じパターンだった。

俺のことは好きだけど、好きだけじゃやっていけないから、前に進むために別れを決断したらしい。

最近何となくそっけないとは思っていたけど、そういう理由だったんだね。

将来性がないと言われ、俺自身が納得してしまった。

俺はフリーランスとして本格的に活動を開始して、もう3年くらい経つけど、いまだに大きな成果は出せていないし、収益は一般の会社員の給料レベルですらほど遠いほど少ない。

だからこそ、会社で働きながら空いた時間で活動しているんだけど、派遣社員としての給料と、アラフォーという年齢を考慮した時に、将来性がないと判断されるのは当然のことだ。

つまり、全て自分が悪い。

だから俺も引き留めずに、彼女の決断の背中を押してあげることにした。

俺にできることは、せいぜいそれくらいだった。

 

彼女はとても良い子で、純粋で元気な性格だったから、俺も沢山元気をもらっていた。

クレジットカードの借金が積み重なり、多額の利息を支払うことになった時も、「どうせ銀行に預けてるだけだから」と言って、200万円も貸してくれた。

その時はきっと、まだ俺の将来に期待していたし、信頼もされていたんだと思う。

でも俺自身、色々と甘く考えていたこともあり、彼女への返済が滞ったり、お金を使い過ぎたりしてた。

その辺りが自分のダメさ加減で、クソみたいな人間である証でもあった。

でも当時はYouTubeチャンネルの数字が急上昇し続けていたので、このペースなら月間10万円くらいの収益に繋がると予測していた。

そうなれば借金も無事に返済できるから、そこに賭けていたのもあった。

結果的に、YouTubeへの参入者がどんどん増え続けて、今となっては停滞してしまい、希望が見えない状況になってしまったけど、それも自分の努力不足や判断ミスが、根本的な原因だ。

もし、彼女に借金をしてから、自分の収益が順調に伸びて、きちんと返済していたら、こんなことにはならなかったと思う。

でもその先に待ち受けているのは、結婚や出産という、一般的な王道と言われる道だった。

正直その道は、俺が望んでいるものではなかった。

そんな将来の展望の違いも、お互いの気持ちが離れる原因のひとつだったかもしれない。

 

彼女とは少し離れた場所に住んでいたので、会うためには片道1時間ほど車を運転する必要があった。

もし彼女の家まで迎えに行って、俺の家に来て、また送っていくとなると2往復になり、そこで費やす時間だけでも4時間になる。

俺はそんなことに時間を使うことが嫌だった。

会ってる時も、ご飯を作ったり、ご飯を食べたり、家で映画を観たりするだけで、コロナ禍ということもあり、かなりまったりしていた。

そんな時間が楽しいとか、幸せだと思えるならそれでも良かったかもしれない。

でも俺はムダだと思ってしまった。

 

側から見れば、そんなマンネリカップルは別れて当然なんだけど、それでもお互い好きだったんだと思う。

別れた日も、別れを告げられるまでは今までと同じように過ごしていたし、彼女は大泣きしていたし、くっついて離れようとしなかった。

つまり、好きだけど、好きな気持ちよりも、将来性がない男とは一緒にいられないという気持ちの方が大きくなった結果、別れることになったパターンだった。

これは完全に俺の責任で、彼女には本当に申し訳ないと思う。

 

夢を追いかけることは、素晴らしいことだと思う。

でも儚いという字は人の夢と書くように、ほとんどの夢は叶わず消えていく。

今の俺のように、得られるものが少なく、失うものが多いことも珍しくない。

今思えば、普通の会社員として働いて、平凡ながらもプライベートは自由に生きる人生の方が、今より断然幸せで楽しかったと思う。

多分、文句や不満は絶えないと思うけど、今の状況よりはかなりマシだ。

俺自身、正直夢が叶うなんてもう思っていない。

「それでも前に進むしかない」なんて、もう思えない。

 

10代の頃思い描いていたように、30歳を過ぎた後の人生はそれなりに絶望的で、終わっていた。

アラフォーになった今、その色は更に濃くなっている。

 

そろそろ人生を終わらせる覚悟を決める時が来た。

でもその前に、完成させなきゃいけない小説や、完済しないといけない借金があるから、それらをきっちりやり切るまでは死ねない。

 

別れ際、彼女は一枚の封筒を差し出した。

それは最後の手紙で、今の気持ちを全て込めた内容だったと思う。

でも俺は「そんなの受け取れないよ。読んだら泣いちゃう。」と言って、受け取らなかった。

その手紙を受け取ったら、彼女は今より前に進むし、俺は今より未練が大きくなってしまうと思ったから。

 

彼女と付き合った期間はとても長くて、過去最高記録だったけど、そんな長い付き合いだったにもかかわらず、特に欠点もない最高の彼女だった。

この先誰かと付き合って結婚して家庭を持って、きっと幸せになるだろう。

俺はそんな彼女の希望溢れる未来を邪魔しないために、笑顔で去った。

彼女からまた俺は、冷静にさわやかに去っていったように見えただろうし、未練を感じさせない雰囲気だったと思う。

最後の最後に、彼氏として良い行動ができたと思う。

 

さようなら。愛した人。

今までありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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