15年乗り続けた愛車との別れまで、
残り2日。
こんなに長い年月を共に過ごしたのは、
人生でこの車くらい。
実家の一軒家だって、
13年しか暮らさなかったし。
15年以上ずっと一緒にいる友達もいない。
身の回りにある物も全部、
15年以上も持ち続けてない。
15年って、長いよね。
この車を買った時に生まれた子が、
今は中学3年生ってことになるから。
時間の流れって恐ろしい。
振り返ってみると、この愛車には、
本当に色んな想い出が溢れてる。
何十人もの人達を乗せて、
何百という場所に走って行った。
色んな世界を、一緒に駆け抜けた。
18歳だった若者は、34歳の中年になった。
ピカピカだった新車は、寿命を迎えた。
俺はずっと、この車が好きじゃなかった。
てか、今も好きじゃない。
この車は思いっきりファミリー車で、
誰にもカッコ良いと言われたことがない。
じゃあ何でこの車を買ったかというと、
ミニバンとしては手ごろな値段で、
改造すると凄くカッコ良くなる車だから。
でもズボラな俺が、
改造なんてするわけはなく。
結局ノーマルのまま15年間走り続けた。
でもボロくなればなるほど、
愛着が湧いてくるんだよね。
自分と一緒に歳を取ってるようで、
基本的には、どこに行くのも一緒だから。
ただの無機質な機械なんかじゃなくて、
大切なパートナーだと思える。
普段はそんなこと思わないのに、
もうすぐさよならだと思うと、
何だか寂しい気持ちになるのが不思議。
生き物と違って、葬式するわけでもないし、
何も特別なことをすることなく、
いつも通りの日常を過ごす。
でも来週の今頃は、
新しい愛車に乗ってる自分がいる。
そんな毎日にも、
気が付けば慣れているんだろう。
日々は何事もなかったかのように、
新しいことが、すぐに当たり前になる。
この世界とも、色んな人達とも、
少しずつ、別れの日は近づいている。
それを忘れないで。